「あら、蓮くんじゃない!久しぶりね~!
しばらく見ないうちにイケメンになっちゃって~!」
私の家の近くまで来た所でちょうど帰ってきたお母さんが蓮を見てものすごくはしゃいでいる。
「ほんと、久しぶりですね」
「良かったら夕飯食べてかない?
ハヤシライス作り過ぎちゃったのよ」
ハヤシライス……。
蓮の大好物だ。
そう思って蓮の顔を見ると、蓮の瞳が輝いていた。
「ぷっ……!」
そんな蓮が可愛くてつい、笑ってしまった。
「な、なに笑ってんだよ!
しょうがないだろ?氷菜のお母さんのハヤシライス好きなんだから……」
照れながらそう言う蓮。
本当にあの頃に戻ったみたい──。
お母さんもそんな私たちを見て優しく微笑んでいた。
「あっ、そうだ……」
そんなことを呟いてスマホを取り出す蓮。
「1人、呼んでもいい?」
そんなことを聞かれる。
「うん、いいけど……」
呼ぶって、誰だろう?
蓮の友達って……
「あっ、翼くん?」
そう聞くと、バツが悪そうな顔をして
「……あいつは呼ばないよ」
そう冷たく言った。
「そ、そっか……」
2人に何があったんだろう?
でも、蓮のこの様子を見ていると昼間の翼くんの言葉がどうしても信じられない。
でも、私は薄々と気付いていたんだ。
翼くんが嘘をついていることに──。