昇降口で外履きに履き終えて校門を出た所で、グイッ……と右腕を強い力で引っ張られた。
何が起こったのか分からなかったけど視線の先には蓮の姿があって……。
翼くんから聞いた話の事もあって危険を感じとった私は必死に抵抗した。
「離してっ!」
だけど、男の力の強さに敵うわけもなく私の腕を掴んでいる手はビクともしない。
蓮は無言でどんどん進んで行く。
一体どこに向かっているの……?
頭の中でふと、疑問に思った。
「女の子と約束してるんじゃないの……?」
朝、約束してたよね?
そう思って聞くと──。
「あれは……昼休みに断った」
えっ……どうして……?
どうして急にそんなこと……。
どれだけ考えても分からなかった。
本当に、蓮が考えていることは分からないことが多すぎる。
ねぇ、蓮……。
蓮は今、何を思ってるの?
私を、どうしたいの……?