放課後。


昼休みに夏美ちゃんは部活があるから一緒に帰れないと言っていたのを思い出し、私は1人で帰ることにした。


「氷菜ちゃん、1人で帰るの?」


ふいに翼くんに声をかけられる。


「うん。することもないし、夏美ちゃんは部活みたいだから」


「じゃあ、俺が家まで送るよ。
今日、ちょうど部活ないからさ」


そう言って帰りの支度を始める。


だけど、それは松下くんの声によって止まってしまった。



「翼、何してんのー?部活、早く行かないとマネージャーに怒られるよー?」


あれ?


翼くん、今……


「部活ないって言ってなかった?」


私がそう口に出すと松下くんは……


「あー、またサボろうとしてたんでしょー!
マネージャーに言い付けてやるー!」


そう言って走って行ってしまった。


「あーあ、マネージャーに怒られるなー」


なんか、私が悪いみたいな雰囲気になってる?


でも、部活ないって嘘をついた翼くんの方が何十倍も悪い気がするんだけど……?


「わ、私のせいじゃないよ!
翼くんが嘘つくから悪いんだよ!」


「はははっ、確かに!とまぁ、ちゃんと部活に行くよ。帰り、蓮と遭遇しないようにほんとに気を付けてね」


翼くんも夏美ちゃんと同じくらい優しい。


「うん、ありがとう。また明日ね」


「おう、またな」



教室で翼くんと別れて昇降口まで行く。