「あっ、嶋田さん!
夏美さんってどこ行ったか分かる?」
松下くんが下から覗き込むようにして廊下を通りかかった嶋田さんという女の子に声をかけた。
「えっ、あっ、えっと……1年生の男の子と一緒に屋上に行くのを見ましたけど……」
1年生の、男の子……?
それって、もしかして……。
「そっか!ありがとね!ばいばーい!」
愛嬌のある笑顔で手を振る松下くん。
もう、本当に可愛い……!
こんな弟が欲しいとさえ思うくらいだ。
「今の聞こえてたよね?」
「うん、バッチリ。松下くん、ありがとう」
「はいはーい!またねー!」
そう言って教室へと戻って行く。
私も夏美ちゃんと話すために屋上へと向かった。