ニコッと微笑んで……。
「俺はあいつに騙されてたんだ。
蓮はこれっぽっちも氷菜ちゃんを好きだった事はないよ。あの日の蓮の行動はポニテをしてきた氷菜ちゃんがあまりにも可愛かったから誰かに襲われる事を心配したんだ」
じゃあ、蓮は本当に私の身体しか見てなかったんだ。
全然気付かなかった。
そんな蓮をずっと想い続けてたなんてバカみたいじゃん……。
「俺も中学の時に聞いた言葉を信じ過ぎてた。
中三の頃は蓮は氷菜ちゃんが好きだったんだよ」
私もその時は好きだったと思う。
だけど、今はもう──。
それに、その話を聞いて私の蓮に対する好きな気持ちは完全になくなった。
「氷菜ちゃん、これから蓮の行動に気を付けて。今のあいつは大きさとかそういうの関係なしに色んな女とヤってるって噂だから」
そうだ。
身体目当てってことはそういう事をされるかもしれないんだ。
「うん、気を付けるね。ありがとう、翼くん」
「いいよ。さて、授業始まるし教室に戻ろうか」
その言葉に頷いて私たちは教室へと戻った。
それが全部翼くんの嘘だったなんて、この時の私は疑いもしなかった。