教室の前で息を整える。


「ふぅ……」


何とか間に合った。


しかも、信じられないことにいつもと同じ時間帯に着いた。


きっと、噂は広まってるよね……。


「はぁ……」


一息ついた後、教室の扉を開けると一斉にみんなの視線が私に向いた。


そして、ヒソヒソと何かを話し出す。


「翼くんが気遣ってくれたのにそれを台無しにしたってマジ?」

「有り得なくない?てか、最低だよねー」


「しかも、翼くんのこと押し飛ばしたんでしょ?」

「はぁ!?信じらんない!」



事実と異なった内容の話が聞こえてくる。




翼くんの気遣いを台無しにしてしまったのは本当だけど押し飛ばしてはいない。


どうしてそんなデタラメな噂が広まったの?


そんな疑問が頭によぎったけど気にしてないフリをして自分の席に着いた。


前の席の翼くんはまだ来てなかった。


この時間にはいつも来てたのに……。


そんなことを思ったけれどそれよりも今は噂のことの方を考えよう。



まさか、こんな噂が広まっていたなんて……。