「──ねぇ、聞いてる?」


「へ?」


急に話題を振られた事に驚いて間抜けな声が出てしまった。


「だから、これ。俺の電話番号とID。
昼間とか夜とかなら暇だから好きな時間に連絡して」


そう言って渡された紙切れ。


これまた、男とは思えないような可愛らしい丸文字で数字が書かれていた。


こんな字、書くんだ……。


そんな些細な事を知れただけでもこんなに嬉しくなる。


これって、やっぱり……ううん、絶対に違う!



「そろそろ行かないと遅刻じゃないの?」


「え?あっ……!」


その言葉にスマホで時間を確認すると8時を過ぎていた。


「急げば間に合うかな……。
話聞いてくれてありがとう!またね」


「ん。またね」



そんな挨拶を交わして、少し名残惜しいけどその場を後にした。