俺はいつものように展望台に来ていた。
けど、今日はいつもと違った。
いつもと違うのは……先客がいるということ。
俺よりも先に人がいるなんて珍しかった。
胸の辺りまで伸びた明るい色の髪が印象的で綺麗だと思った。
それよりも、真っ青な海を見つめて……
「綺麗……」
そう微笑んで呟く彼女はどんなものよりも綺麗で輝いて見えた。
そんな彼女に見とれていると……彼女は突然叫び出した。
「──なんて、大っ嫌ーーーいっ!!」
最初の方は聞き取れなかったけど彼女はそう叫んでいた。
俺はそのまま立ち去るつもりだったのに。
なぜか……、自分でも分からなかった。
「ここ、山とは違うんだけど」
気付いた時には声をかけていた。