歩き続けて30分くらいが経った時。
突然、翼くんが止まって……
「着いたよ」
そう一言だけ言った。
辺りを見渡すと周りは木で囲まれていて、目の前には赤い鳥居と階段があった。
「神社……?」
どこからどう見てもそこは……神社だった。
「そう、神社。ここの空気、良くない?」
そう言われて私は大きく息を吸った。
「確かに自然の香りがしていいと思うけど……。
でも、どうして急に神社なんかに……?」
何か理由でもあるのかと思って聞いたのに……
「いや、理由はないよ」
軽くそんなことを言う翼くんに私は呆れた。
「私、帰るからね」
そう言って来た道を戻ろうとすると……
「あぁ、ちょっと待って!」
翼くんに再び腕を掴まれ止められる。