その時──
私の唇に柔らかいものが重なった。
確認するために目を開けると目の前には蒼空くんの顔があって、蒼空くんの息が私の頬に当たっていて·····
私は蒼空くんにキスされていた。
優しくて温かいキス·····。
もっと欲しい····なんて思ってしまったのが悪いのか
蒼空くんの唇が離れた。
「·····今日はこれで我慢してね」
その言葉に少しだけショックを受ける私。
それが顔に出ていたのか──
「そんな顔されても今日はもう無理だから。
これ以上続けたら、俺がヤバいから·····」
そう、意味が分からないことを言う蒼空くん。
ヤバいって、何が·····?
私にはさっぱり分からなかった。
「いいから、今日はもう帰ろう。送ってくから」
「えっ·····!一緒に帰るの!?」
「·····嫌なら1人で帰れば?」
「嫌じゃないよ!ちょっと驚いただけ!」
まさか、蒼空くんと一緒に帰れる日が来るなんて
思ってもいなかったから。