学校を飛び出した私は迷うことなく蒼空くんと初めて出会った場所に向かっていた。



そう、あの場所。



星ヶ丘展望台に──。




長い階段を蒼空くんとの数少ない思い出を思い出しながらゆっくりと上って行く。




嫌なことがあって、それを忘れたい一心で叫んだ時に何も言わずにただそばで見守ってくれていた蒼空くん。



親友と喧嘩しちゃってどうしたらいいか悩んでいる時に優しく的確なアドバイスをくれた蒼空くん。



ネックレスを2度もくれた蒼空くん。



私の家で蓮と私と蒼空くんの3人で過ごした楽しい時間。



キスマークを見て逃げてしまった蒼空くんを追いかけて隣町まで行って男の人たちに襲われそうな所をわざわざ助けに来てくれた蒼空くん。




そのどれもが、私の中では大切な思い出。


どれも、手放したくない思い出。



大好きな蒼空くんとの唯一の思い出。