「はぁ······」
自分の勇気のなさにため息が出る。
蒼空くん、喜んでたのかなぁ·····。
表情は変わってないように見えたから
喜んでいるかどうかまでは正直分からなかった。
私も渡したいなぁ·····。
でも、こんな物で喜んでくれるかな·····。
さっきの反応を見た後だからか
私のプレゼントに自信がなくなっていた。
先に私のを渡すべきだった。
今頃、夏美ちゃんとどんなお話してるのかな。
【俺の好みを知ってるなんてすごいね】
【たまたまだよ。でも、良かった。
気に入ってもらえて】
【うん。もう、絶対外さない】
【蒼空·····】
そんな嫌な妄想を考えてしまう。
「夏美ちゃんはそんな事しない!」
分かっている。
分かっているんだけど怖くて
私は蓮に先に帰るとメールを送って
1人で水族館を出た。
夏美ちゃんが蒼空くんを
好きになりませんように──
そんな酷い願い事をして私は1人
暗い夜道を歩いていた。
私は──
──蒼空くんが好き。
それが本当の気持ち。
素直な気持ちだった──。
もう、誰にも邪魔されたくない······。