渡すなら、今しかないよね·····?
そう思った私は紙袋を差し出した。
「え·····俺に?」
不思議そうに尋ねる蒼空くんに
私は何度も頷く。
蒼空くんは紙袋を受け取って中身を取り出した。
いま渡したものは夏美ちゃんからのプレゼント。
私のは、まだ渡す勇気が出せないから
また今度にすることにした。
「ピアス·····?」
「あっ、蒼空くん、ピアス開いてる?」
気になって聞いてみると
「一応、開いてるけど·····」
そう呟くように答えた。
「これ、佐上さんが選んだの?」
「う、ううん!夏美ちゃんからのアドバイスとか
くれたお礼、という名のプレゼントだよ!」
「·····別に良かったのに。でも、ありがと。
って、佐上さんに言っても意味ないのか」
1人で言ってツッコミを入れる蒼空くん。
「あっ、えっと、私から伝えとくね!
それか、今ならまだお店にいると思うから
直接伝えることもできるよ?」
私がそう言うと
「じゃあ、直接伝えて来る」
そう言ってお店の中へと入って行った。