「これくらいでいいかな····?」
蓮は猫舌だからあんまり温めると
なかなか食べられないから。
ハヤシライスをお皿によそってリビングまで運んだ。
「はい。私、蒼空くんのこと起こして来るね」
「蒼空の奴、まだ寝てんのか?
俺はお腹すいたし、先に食べてるな」
その言葉に頷いて2階へ向かう。
こんこん───
「蒼空くん、起きてる?」
ドア越しで問いかけるが蒼空くんの返事はない。
「えっと········入るね?」
自分の家なのに、なぜか緊張して·······
私は部屋の中に入った。
元々何もなかった部屋。
見回してみると、テーブルの上に小さなノートと
蒼空くんのスマホが置いてあった。
そして、その奥にあるベッドで
静かに眠っている蒼空くんがいた。
こちら側を向いて寝ているから顔が見える。
白い肌に長いまつ毛·····。
幼い子供のように見える寝顔····。
「可愛い······」
起きている時も可愛いけど、
寝ている、無防備な顔はそれ以上に可愛かった。
蒼空くんが聞いたら昨日みたいに怒るんだろうなぁ。
なんて、昨日のことを思い出して1人、笑う。
気持ちよさそうなその寝顔に
起こすのがもったいないとさえ思う。
だけど、そういう訳にもいかないから
起こすことにした。