「今日であんたの事がよく分かったよ」


夜空を見ながらポツリと零す。



「た、例えば、どんなこと····?」



気になったのか遠慮気味に聞いてくる。



夜空から君を瞳に映して·····





「感情移入しやすくて泣き虫だってこと。
通話中、何度も涙目になってたでしょ」



思い出しながら、笑って言う。




「み、見てたの····?」


分かりやすく顔を赤らめて言う。



「神崎に話があったんだよ。
それで、たまたま目に入っただけ」



気付けば俺····

いつだってそういう所ばっかり
見ている気がする。




「まぁ、そういうところ可愛いし
魅力的でいいんじゃない?」






え·····?


俺、いま何て言った·····?



可愛いって、言ったのか····?


俺が、佐上さんに····?





佐上さんの顔が赤くなっている。



それに気付いた俺は
顔を隠すようにそっぽを向いて



「·····そろそろ中入りなよ。

風邪、引いても知らないよ?」



そんなことを言って誤魔化した。






「蒼空くんの方が可愛いよ····」






不意に言われたその言葉に
カチンときた俺は佐上さんを睨んだ。



それがさらに可愛いと思ったのだろう。




「ぷっ····あはははっ!」



佐上さんが思いっきり笑った。




「失礼な奴·····さっさと寝なよ」



呆れた俺はそう言い残して

バサッとパーカーを佐上さんの頭に被せて
家の中へと入った。




2階の部屋に入ってすぐにベッドに入る。





こんな時間がずっと続けばいいのに·····。



あいつなんか見てないで、俺を見て欲しい····。


なんて、わがままなことは言わない。



ただ、この関係が終わって欲しくないだけ。




だけど、こんな俺は
神崎には叶わなくて──




密かに想っていることしかできなかった。