ピンポーン──♪
インターホンを鳴らした。
中から慌てたように玄関に向かってくる
足音が聞こえてきた。
そしてドアを開くと───
そこには、やっぱり
展望台で出会った彼女がいた。
幼馴染みは彼女だったんだ·····。
俺の失恋が確定した。
そう感じた瞬間だった。
「悪い、遅くなった。
こいつが寄りたい所があるとか言って····」
遅れた理由を説明する神崎。
余計な事まで口走りそうに
なっていたから途中で口を塞いだ。
「それは言わなくていい事だから」
俺のその声に
彼女の目がゆっくりと大きくなっていく。
驚いているのが丸分かりだ。
本当、分かりやすい奴だな····。
「~~~~っ!」
神崎が必死にもがいている。
「あ、ごめん」
そう言って神崎の口から手をどける。
「はぁっ····!死ぬかと思った。
何も口を塞ぐことないだろ?」
「疲れることはしたくないから」
疲れることをすると、身体に良くないって
医師に言われた。
ストレスがより溜まりやすくなるらしい。
神崎とそんなやり取りをしていると
奥から母親らしき人が現れた。
「おかえりなさい、蓮くん。
あら?そちらの方は?」
「俺の友達の蒼空です。
こいつに助けられたからお礼にと思って」
友達······
俺は友達になったつもりはないんだけど。
まぁ、それは言わないでおこう。
「あら、そうなの?嬉しいわ~!
蓮くんも蒼空くんもゆっくりしていってね」
母親はそう言ってリビングへと戻って行く。
神崎もそれに続いて歩き出す。
でも、俺は
その場から動かなかった。