「これはっ····!」
俺の身体を見るなり先生が驚いている。
「間違いない·····。
蒼空くん、君は──
親から虐待を受けていたんだ」
「そう、ですか·····」
記憶にはないから実感が湧かない分
反応のしようがない。
虐待──。
よく耳にする単語だけど
俺が実際に受けていたなんてな·····
本当に実感がないから何とも思わない。
思わないはずなのに
胸が、すごく苦しい·····。
何なんだよ、この痛みは·····!
「はぁっ、はぁっ·····っ!」
自然と呼吸も乱れてくる。
俺は必死に胸を抑えながら
呼吸を整えようとするが上手くいかない。
「蒼空くん、落ち着いて!
ゆっくり深呼吸をするんだ!」
しん、こきゅう·····
「はい、息を吸ってー」
「すーっ····」
「はい、吐いてー」
「はーっ····」
それを何回か繰り返した。