学校への道を歩きながら今日の予定のことを話していた。


「クラス発表楽しみだね!」


本当に楽しそうにそう言う氷菜。


「氷菜と同じクラスはもういいけどなー。
中学の時、ずっと一緒だったし」


氷菜の前ではどうしても素直になれずに、また思ってもないことを口にする。


「蓮ってば酷い!私は、蓮と同じクラスがいいなって思ってるのに……」


え?

氷菜が俺と……?



そんな事を思っていたなんて嬉しくてやばい……。



「あっ、氷菜ちゃんに蓮!おはよーう!」


こいつは、日高 翼。

中学の時からの友達で何かと相談に乗ってくれる優しい良い奴。



──そう思っていた、あの日までは。



「おはよう、翼くん!」


俺の友達という事もあって氷菜とも仲は良かった。


「相変わらず、仲良く一緒に登校してるんだな」


「ああ、まぁな」


この時の翼が何を思っていたのか、俺にはさっぱり分からなかった。


「まっ、いいや……。
それより、クラス発表楽しみだなー!」


氷菜と同じことを言う翼に俺は呆れていた。


「うん!同じクラスになれるといいね!」


まぁ、氷菜が楽しそうだからいいか。


俺はただ、それだけで良かった。



良かったはずなのに……。