あなたに恋のお届けものです

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「…ここは…?」

目が覚めると、もうそこはゲームの世界での私の部屋ではなかった。


目の前の本棚には、たくさんの少女漫画。

机は散らかっていて、まるでついさっきまで机にいたかのようだ。

そして、床に座り込んでいる私の前に置いてあるゲーム機。

「学園ラブストーリー」

そんな文字が浮かんでいた。



「戻ってきた…?」

そう、そこは紛れもなくもとの世界の私の部屋だった。

「ちゃんと…戻ってきたんだ!」


戻ってきた!ちょうど私が意識を失ったすぐ後の時間に。





荷物も一緒に私と来ていて、そこには寮母さんからもらった封筒もちゃんとあった。

「よかった…!」

長い間、ずっと向こうの世界にいてこっちでは全く時間が変わっていないのが不思議だ。

それに、セレーノ学園の寮の部屋に慣れていたから私の部屋にはまだ慣れない。

「でも、すぐ慣れるよね。」

そばに親友の有紗がいないことも。悠里の声が聞けないことも。

勝利はあとで行くって言ってたけど、いつに来るのかもわからない。

「…。」

その時だった。

ピロリンピロリン♪

突如、ゲーム機から音がなった。