「…はい。俺は、もともと復讐のために帰りたくて、でももういいんです。」

悠里はしっかりと目を開いて、高浜先輩を見つめた。

そして、そっと隣にいる有紗の肩を抱いた。

「守りたいものができた。だから俺はここでずっと有紗さんを守る。有紗さんのそばにいる。」

そう言って悠里は有紗に笑いかけた。有紗も笑い返す。

「わかった。じゃあ、永井悠里の帰る権利を今から松田勝利に渡すけど。」
いいな？と聞くと、勝利はこくりと頷いた。


『帰還権譲渡

本日１日、永井悠里の帰還権を松田勝利へと譲渡することをここに示す。

　　　　　　　　　　　　　　　高浜咲』
その下には、スペースが２つあって、高浜先輩はペンを勝利と悠里へと差し出した。

「ここにサインして。」