「そういえばさ、半分不登校なんだよね、俺」
「……え?」
「多分、あんたがいる学校。転校してきたから」

驚いて、口を開けてしまった。
トイレで脅された原因の転入生は、高城さん?
信じられない反面、少し嬉しい。

「き、来てください……!」
「こんな音楽バカ、根暗って言われるだけだろ」
「…………」
「ほらな」

俯いてしまった。
何もいえない。
本当に、本当にそうだからだ。

「ごめんなさい……」
「お前が謝る事ないだろ」

バイオリンの蓋を閉めて彼はにこっと笑った。
その笑顔は、力なく、切なそうだった。
ごめんなさい、力になれなくて。
私は本当に力がない女だった。
本当に、何も出来ない……!

「バイオリン、初日学校に持ってきてください」
「え?」
「みんな聞けば、そんなの……」

彼は少し固まった。
「アホか」と呟いてバイオリンをしまうと
紅茶を淹れてくれると部屋を出て行ってしまった。

藤森なら、このとき何と言うだろう。
きっと、殴ってでも言い通すんだろうな。
あの人は、真っ直ぐな人だから。