その時、テーブルの上に置いていた私のスマホが震えた。
見ると、醍からの電話。
「すみません」
私は植村さんに頭を下げると、スマホを手にして急いで店の外に出た。
外は秋が深まっているから思っていたよりも冷たい。
上着を羽織ってこればよかったと後悔しながら電話に出た。
「和桜?」
「うん」
「しばらく忙しくてなかなか連絡できずにごめん」
「大丈夫だよ。私も忙しかったし」
なるべく平静を装いながら答える。
本当は嬉しくて胸が張り裂けそうなのに。
「今どこにいるの?ようやく仕事が一段落したから今晩はゆっくり会えそうなんだ」
「職場の人と飲んでる」
「どこで?」
「職場の最寄り駅前」
「じゃ、すぐそこに迎えに行くよ」
「え、ちょっと待って、それは無理だわ」
「どうして?」
どうしてって言われても。
さっきまで醍の話題をしていた植村さんの前に彼が現れることはどうしても憚られる。
恐らくこの先繋がらない彼の事、いい関係だって思われたくなかったから。
「職場の人に見られたくない?俺と一緒にいるの」
電話の向こうの彼の声が僅かに緊張しているように感じた。
「もうすぐ帰るから私の家で待ってて」
「わかった」
彼はポツリと答えるとすぐに電話は切れた。
なんだろう。
いつもよりも急いたような彼に電話が切れた後もしばらく心が揺れていた。
見ると、醍からの電話。
「すみません」
私は植村さんに頭を下げると、スマホを手にして急いで店の外に出た。
外は秋が深まっているから思っていたよりも冷たい。
上着を羽織ってこればよかったと後悔しながら電話に出た。
「和桜?」
「うん」
「しばらく忙しくてなかなか連絡できずにごめん」
「大丈夫だよ。私も忙しかったし」
なるべく平静を装いながら答える。
本当は嬉しくて胸が張り裂けそうなのに。
「今どこにいるの?ようやく仕事が一段落したから今晩はゆっくり会えそうなんだ」
「職場の人と飲んでる」
「どこで?」
「職場の最寄り駅前」
「じゃ、すぐそこに迎えに行くよ」
「え、ちょっと待って、それは無理だわ」
「どうして?」
どうしてって言われても。
さっきまで醍の話題をしていた植村さんの前に彼が現れることはどうしても憚られる。
恐らくこの先繋がらない彼の事、いい関係だって思われたくなかったから。
「職場の人に見られたくない?俺と一緒にいるの」
電話の向こうの彼の声が僅かに緊張しているように感じた。
「もうすぐ帰るから私の家で待ってて」
「わかった」
彼はポツリと答えるとすぐに電話は切れた。
なんだろう。
いつもよりも急いたような彼に電話が切れた後もしばらく心が揺れていた。



