「ごちそうさま」

「え？」

さっき食べ始めたばかりなのに、もう手を合わせている彼を驚いて見つめた。

「一気に食べたのね。すごく早くてびっくりした」

「そう？和桜の作るオムライスがおいしすぎたからだよ」

醍はそう言うと、コップに注いだ水をぐっと飲み干した。

「和桜」

「ん？」

「ついてる」

醍の顔が近づき、私の口の端を彼の舌がペロッと舐めた。

「え？」

あまりに急な事に心臓が飛び跳ねた。

「ケチャップ、和桜の口についてたから」

醍はニヤッと笑うと驚いたままの私の唇を塞いだ。

思わずその体を押し返し、潤んだ彼の瞳を見つめながら必死に自分の揺らぐ気持ちを押し殺して言う。

「ち、ちょっと、私まだ食べてるのよ」

「和桜のオムライスも食べたい」

「何言ってるの？」

私の抵抗も空しく、そのままソファーに押し倒された。

彼に両手で頬を挟まれ身動きが取れないまま熱く激しく私の唇は塞がれる。

お父さんとの話、早くどうなったか聞きたいのに。

醍の呼吸が次第に荒く熱くなっていくに従って私の気持ちは制御不能になっていった。

「寂しかったよ」

「うん」

彼が私の耳元でささやくたびに、喜びで体中が熱く震えた。

醍の汗ばんだ背中を強く自分に引き寄せる。

愛する人に求められることほど幸せなことはない。

醍に抱きしめられるたびに、私に欠けていたパズルのピースが一つずつ自分に戻ってくるような感覚だった。

最後に仕上がったそのパズルはどんな絵を描いているんだろう。