「でも俺」

醍はさっき謝ったばかりだというのに、私を抱き寄せる。

彼の鼓動が激しく私の体に伝わってきた。

「守るよ。その傷みから守るために和桜を丸ごと抱きしめたい」

胸の奥がキュンと切なく泣いている。

「俺じゃダメかな」

彼の目が今にも泣きそうなほどに切なく潤んでいた。

「ダメとか、そんなんじゃないの。ただ、私恐いんだ」

「恐い?」

「恋をして、また傷付くかもしれないことが・・・・・・」

醍の胸をきゅっと掴みながら言った。

「俺は和桜を傷付けたりなんかしないよ。絶対に」

「絶対、なんて言葉軽々しく使わないで」

醍は私を強く抱きしめた。

「俺が『絶対』って言う時は絶対なんだ」

「馬鹿言わないで。お互いまだ知り始めたばかりだっていうのにそんな気持ち、断言できるはずがないじゃない」

そんなことを言ったけれど、自分は醍と出会ってすぐに惹かれていた。

この得体の知れない彼の端々に感じる見たこともないような魅力に心が奪われている。

知るたびにその気持ちはどんどん膨らんでいってるのに。

「俺は和桜のこと知ってたんだ、随分前から」

「え?」