その冗談のかけらもない真剣な眼差しに堪えきれなくなり視線を落とした。
「冗談はやめてよ」
私の感情の入らない声が部屋に響いた。
こんな場所で醍は一体何言ってるんだろう。
昨晩のことも思い出されて、一気に心拍数が上がっていく。
坐禅して心の静寂を取り戻したばかりだというのに。
「冗談じゃないよ、って言ったら?」
私の正面に座る彼の方から穏やかな声が聞こえた。
私はうつむいたまま、膝の上においた手をぎゅっと握り締めた。
恋、しちゃいけない。
頭の中で警鐘が鳴っている。必死にその鐘の音に耳を塞ぐ。
しばらくの沈黙の後、小さくため息をついた彼が言った。
「そろそろ行こうか。この寺の庭もとてもきれいなんだ。散歩でもしない?」
醍はすっと立ち上がり、私の目の前に左手を出した。
その優しくて大きな手に掴まって立ち上がりたい。
簡単なことだ。それは、とても自然なことなのに。
私はその手から目を逸らし一人で立ち上がると、自分のバッグを肩に提げて頷いた。
彼は少し寂しそうな顔で微笑むと先に部屋からゆっくりと出て行く。
私も慌ててその後を追い掛けた。
ごめんね。
その背中に心の中で呟く。
何に謝っているのかわからない。
ただ、心が無性に寒かった。
醍は、本当に私のこと『好き』なの?
だから、寝言であんなこと言ったり、さっきあんな意味深な事を聞いてきたりしたの?
彼の気持ちもはっきりわからないし、自分の気持ちをどう納めるべきなのかもわからなかった。
「冗談はやめてよ」
私の感情の入らない声が部屋に響いた。
こんな場所で醍は一体何言ってるんだろう。
昨晩のことも思い出されて、一気に心拍数が上がっていく。
坐禅して心の静寂を取り戻したばかりだというのに。
「冗談じゃないよ、って言ったら?」
私の正面に座る彼の方から穏やかな声が聞こえた。
私はうつむいたまま、膝の上においた手をぎゅっと握り締めた。
恋、しちゃいけない。
頭の中で警鐘が鳴っている。必死にその鐘の音に耳を塞ぐ。
しばらくの沈黙の後、小さくため息をついた彼が言った。
「そろそろ行こうか。この寺の庭もとてもきれいなんだ。散歩でもしない?」
醍はすっと立ち上がり、私の目の前に左手を出した。
その優しくて大きな手に掴まって立ち上がりたい。
簡単なことだ。それは、とても自然なことなのに。
私はその手から目を逸らし一人で立ち上がると、自分のバッグを肩に提げて頷いた。
彼は少し寂しそうな顔で微笑むと先に部屋からゆっくりと出て行く。
私も慌ててその後を追い掛けた。
ごめんね。
その背中に心の中で呟く。
何に謝っているのかわからない。
ただ、心が無性に寒かった。
醍は、本当に私のこと『好き』なの?
だから、寝言であんなこと言ったり、さっきあんな意味深な事を聞いてきたりしたの?
彼の気持ちもはっきりわからないし、自分の気持ちをどう納めるべきなのかもわからなかった。



