「どこかいいところある?」

「ええ、この近所においしいラーメン屋さんがあるの。あなたみたいな人、地元の小さなラーメン屋なんていかないかもしれないけど」

彼は前髪を掻き上げながら嬉しそうに笑う。

「そんなことないよ。ラーメンは好きだよ。おいしいって和桜さんが言うなら是非行ってみたいな」

私も笑顔で頷いた。

醍といるといつも笑ってる。心がウキウキしてくる。

さっきまで真結と話していて凹んでいた気持ちはどこかへ行ってしまった。

珠紀のことなんか、もうどうでもいいような気にさえなってる。

彼といたら、私ももっと強くなれるかもしれない。

私のトラウマも、きっとなくなるかも・・・・・・。


というわけで、その日から醍はうちの家に転がりこんできた。

リビングのソファーが彼のベッドになり、食事は基本朝だけ二人で食べ、昼と夜はお互い仕事があるのでそれぞれが用意して食べると決めてる。

醍は自分の仕事をやりながら、自分の夢の試作品を作るためこっそり職人さん達を集めているようだった。

同居しているけれど、それぞれの生活があり顔を合わさない日もある。

なんだか変な感じだけれど、私にとってはこれくらいが丁度いいような気がしていた。