二人は結局結婚するんだ。
いわゆるハッピーエンド。彼と彼女にとって、新たな幸せの第二章がこれから始まる。
大きく息を吐いた。
顔を上げると、真結が私の顔を心配そうにのぞき込んでいる。
「和桜、大丈夫?ひょっとして、まだ心の整理がついてなかった?」
やっぱり、今日真結と会ったのは間違いだった。
「別に」
私は、真結から目を逸らすと椅子から立ち上がる。
「ごめん、急用思い出したからこれから帰るね」
「え?」
真結は目を丸くして立ち上がった私を見上げている。
財布から1000円札を取り出して、彼女の前に置くと言った。
「じゃ、真結も元気で。お幸せに」
私は「和桜」と小さく呼んだ真結の声に気付かないふりをして、そのまま足早に店を後にした。
店の外に出ると、時間の割に空は真っ暗で雨が降っている。
「さいあく」
バッグに入っていた折りたたみ傘を広げ、駅の方へ歩き始めた。
何やってるんだろう。
元彼と珠紀が結婚する。
そんな事実に3年以上もたった今もなお心を打ちのめされる自分に嫌気がさしていた。
これが現実なのに。
『傷付くたびに、一枚ずつ剥けていって、そのうち本当の自分が中から現れる』
ふと、醍が言ってた言葉が頭に浮かんだ。
そんな簡単な問題じゃないのよ。
トラウマを抱えてしまったら、なかなかそうはいかない。
きっとそのトラウマを覆い尽くすくらいの、新しい何かが私の前に現れない限り。
いわゆるハッピーエンド。彼と彼女にとって、新たな幸せの第二章がこれから始まる。
大きく息を吐いた。
顔を上げると、真結が私の顔を心配そうにのぞき込んでいる。
「和桜、大丈夫?ひょっとして、まだ心の整理がついてなかった?」
やっぱり、今日真結と会ったのは間違いだった。
「別に」
私は、真結から目を逸らすと椅子から立ち上がる。
「ごめん、急用思い出したからこれから帰るね」
「え?」
真結は目を丸くして立ち上がった私を見上げている。
財布から1000円札を取り出して、彼女の前に置くと言った。
「じゃ、真結も元気で。お幸せに」
私は「和桜」と小さく呼んだ真結の声に気付かないふりをして、そのまま足早に店を後にした。
店の外に出ると、時間の割に空は真っ暗で雨が降っている。
「さいあく」
バッグに入っていた折りたたみ傘を広げ、駅の方へ歩き始めた。
何やってるんだろう。
元彼と珠紀が結婚する。
そんな事実に3年以上もたった今もなお心を打ちのめされる自分に嫌気がさしていた。
これが現実なのに。
『傷付くたびに、一枚ずつ剥けていって、そのうち本当の自分が中から現れる』
ふと、醍が言ってた言葉が頭に浮かんだ。
そんな簡単な問題じゃないのよ。
トラウマを抱えてしまったら、なかなかそうはいかない。
きっとそのトラウマを覆い尽くすくらいの、新しい何かが私の前に現れない限り。



