「違う、強いて言えば
姫奈限定の王子様かな?」


って。


こんなくさいセリフ、
普通だったら引いちゃうけど
陽輝が言うと様になっていて
ときめいてしまった。
体がどんどん熱を帯びてゆく。


そんな私の気持ちが陽輝にも移ったのか


「次行くぞ!」


また強引に繋がれた手からは
陽輝の熱も伝わってきた。


一歩前を歩いているから
顔は見えないけど
きっと照れてる。


私はこの背中を忘れまいと
繋がれた手と目に神経を集中させて
頭に焼き付けた。




しばらく歩けば
2人の体温も平熱を取り戻し
会話も普通に戻っていて、
気付けば辺りはオレンジ色に
染まり始めていた。