ひと夏の恋をキミと

「姫奈!大丈夫か!?」


額に汗を光らせ
息を切らせた陽輝がいた。


「なんだ、てめぇ!
邪魔すんじゃねーよ!」


もう一人、残っていた男が
大きな声を出して陽輝に
殴りかかろうとする。


思わず目を瞑った後、
聞えてきたのはさっきと同じ
鈍い音。


陽輝が殴られてしまったのかと
不安になって目を開けると
倒れていたのはまた
見知らぬ男の方で。


「姫奈…っ!」


焦った表情を浮かべ
私に駆け寄って来た陽輝が
きつく私を抱きしめてくれた。


「怪我ないか…?」


優しい声に安心して
さっきまでの寒気が嘘のように
血の気が戻る感覚がした。


「ありがとう…。助けてくれて。」