姫奈が眠りについてから
2年と半年が過ぎた。


「卒業生代表、青山陽輝!」


「はい。」


名前を呼ばれ、ステージへと上がる。
今日は卒業式だ。


「答辞、卒業生代表 青山陽輝。
この学校での高校生活3年間が終わろうとしています。
楽しい事・嬉しい事・悲しかった事・辛かった事、
たくさんの思い出が、私達卒業生の胸に
残っていることでしょう。

…俺は高校一年の夏にある女の子に出逢いました。
綺麗な顔立ちなのに
それに似合わない切ない笑い方をする子でした。
彼女は抱えきれないほどの大きな荷物を
背負っていた。」


「ちょっと、青山君?
どうした…」


「良いじゃん先生!聞いてよ、陽輝の答辞。」


俺は事前の内容とは全く別の事を
話しているから先生たちは焦っていて、
在校生も何事かとざわついている。
でも、さすが大樹だな。
俺の一番の理解者だ。
大樹に目で『ありがとう』と伝えた。