「そんな簡単な事じゃねーんだよ!
お前は何も知らないからそうやって…」「知ってるよ。」


…は?


「知ってるよ、姫奈ちゃんが病気だって事。」


「お前…、今なんて…。」


「だから!知ってる…。姫奈ちゃんが脳腫瘍なの。」


顔をしかめ、悲しそうに呟いた大樹。


「何で…、知ってんだよ。」


愛美ちゃんが言うわけないし…。


「…見かけたんだよ、病院で。
俺、この前怪我しただろ?
それで病院行った時、姫奈ちゃんもそこにいて
それで…」


それからも何か言ってたけど
聞えてこなかった。


”姫奈が生きてる”


その事実だけが俺の中を埋め尽くした。


「なぁ、陽輝。」