夏休みが明け
今までの日常が戻った。


何も変わらない。


そのはずなのに…。


俺は心に空いた穴が大きすぎて
何もする気が起きなかった。



「ねぇ!陽輝聞いてる?
最近元気ないよ?カラオケでも行こう!」


クラスの子が俺に腕を絡ませてきた。


…違う。これは姫奈の温もりじゃない。


「…触るな。」


腕を振りほどいても
まだまとわりついてくる。


「…触んなって言ってんだろ!」


自分でも驚くほど
低くてドスの利いた声が響いた。


呆然としている子を前に我に返った。


「…ごめん。」


夏休み前はこんなのが当たり前だったのに。


誘われたら遊びに行くし、
くっついていることも
何度かあった。