ひと夏の恋をキミと

これ以上いたら
欲張りになっちゃうから
『帰ろう』って言おうとした時、


「姫奈。」


陽輝が私の名前を呼んだ。


そんな愛しそうに
優しい声で呼ばないで…。


離れられなくなる…。


そう思った時にはもう遅くて、
私は陽輝から
目を反らすことが出来なかった。


「姫奈、俺、姫奈が好きだ。」


……一番聞きたかった言葉だけど、
聞きたくなかったな。


嬉しさと、悲しさと色んな感情が
私の心を支配する。


溢れそうな涙を必死で堪え、
そっと繋がれていた手を離した。


そして


「…ありがとう。」


陽輝の頬に
好きの気持ちをたっくさん込めて
キスをした。


「…バイバイ。」


私は一枚の封筒を、
陽輝の膝の上に残しその場を去った。