「…突き放しておいて…、いまになって…あなたのことばかり考えてしまうの…
私の心は、醜い…っ!
紘一さんの妻ではいられない…っ!」

「…悠夏さま…」

「…《大切な人を無くすのは慣れてる》…なんて、言わないで…っ!
そんなもの、慣れちゃいけないのよ?」

吉澤は、悠夏の頬につたい落ちる涙を拭った…

吉澤も、そのうち…、自分の気持ちを押さえることが出来なくなっていた…

今まで…、触れないように…蓋をしていた…

自分の心のタガが外れてしまったような…そんな感覚がした…


一瞬…で、その瞳が変わった吉澤に、悠夏はその瞳を見た瞬間に、動揺した…


もぅ…、後戻り…は、できない…と。。


悠夏は、自分を見つめる吉澤の頬に触れる…


これは、もぅ…後戻り出来ないのかもしれない…戻るなら…今しかない…。。と、脳裏を掠めた…

が、その何処からか…響いた声を振り払うように…

吉澤は、腰を上げる…悠夏のその吉澤に抱きついていた…


互いに、貪りあうように…口付けを交わした…

「…吉澤さん…っ」

その、溺れるようなキスから逃れるように…

やっと、その名だけ…、口先から漏れた…

「…悠夏さま、私の部屋に来ますか?」

「……っ。」

その、吉澤の言葉に、これから起こるべきことは…取り返しのつかないことに成りうる…と、予想できた…


紘一の妻でありながら…、腹違いの弟と不貞を…


吉澤の腕に抱かれながら…、今後のことは、最悪な状態になるこもしれない…という思いにかられた…


が…


「…罪は、私だけに…」

吉澤ほ、悠夏の言葉に、微かに首を振りながら…

「一緒に、地獄に落ちましょうか?」



そして…

もぅ一度、口付けを交わした…


「……っ」
《私は、誰かに…愛されている…と、思いたかった…》