何かを、思い出そう…としても、思い出せなかったことから、諦め…

久しぶり…に、その絵本を読んでみよう…と、懐に抱えた。


その隣りに、背表紙も何も書かれていないファイルらしきものがあった…

気になって、本棚から取り出し、開いてみる…アルバムだった。

「…紘一さんの?」
《…にしても…、写真、この1冊だけ? 少ない…っ》


と、思いながら…パラパラと捲る…


1年ごと、家族写真が撮られている…先ほどの誕生日のコメントと同じ日付の日に撮られている…


その1番最初の写真には、赤ちゃんとその子を取り囲むように…両親らしき男女が映り…

次には、1歳…、2歳…と、歳を重ねて行くごとに撮影されたものだろう…


「…この、男の子は、紘一さんね」
《で、この男性は、若い頃のお義父さま…だ。

この隣りにいる…この女性は、紘一さんのお母さん…っ?

綺麗な人…


こんな家族写真を毎年撮るなんて…、愛されて育ってきた…のよね…?》


ここまで、慈しみ…育てられ…てきた紘一が何故、あのような人格になるのか…?

悠夏には、理解出来ず…疑問だった…

そのアルバムをめくっていく…


その男の子が6歳の誕生日の日の写真には、紘一の母親らしき女性にぴったりとくっついて笑顔を向けている…2〜3歳くらいの男の子が映り込むようになっていた…


「…これは…っ?」
《この、面影…は…
もしかしたら、吉澤さん…?

確か…、雅さんが、吉澤さんは、幼い頃に椎堂家に引き取られた…と、言っていたけど…》


その、写真のことが気になり、アルバムの中から取り出した…

写真の裏を捲ると…
《紘一 6歳の誕生日に。
佑一朗、沙也香、紘一 6歳、匡 2歳》

「…やっぱり…」


…が、先程の絵本の裏表紙に書かれた文字の筆跡とは明らかに違うものだった…