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身支度を整え…、吉澤の言う通り、ダイニングルームへ向かった悠夏…

部屋のドアを開けると、吉澤がテーブルの上に朝食を並べていた…


「あ、おはようございます…吉澤さん」

その声に、悠夏の方を向いた吉澤…

「おはようございます。悠夏さま」

そぅ、にこっと、笑顔を向けた吉澤…

その笑顔に、悠夏の胸がキュっとした…

胸が傷んだ…のは、吉澤の表情一つ一つに惹かれ始めている…からだけではない…
吉澤が、昨夜の悠夏と紘一との行為を知っているから…

知られたくはなかった…というのが、正直なところ…だった…



吉澤が用意してくれた朝食を食べながら…1つ、疑問に思ったことを聞こうと思った…

「あの、吉澤さん!」

果物を切り分けている吉澤の手が止まった…

「はい、何か?」

「あの…吉澤さんの名前…。
紘一さんも、雅さんも…他のメイドさん達も…みんな、吉澤さんのこと、『吉澤』か『吉澤さん』って、言われるから…」

「…吉澤…匡(たすく)です」

またも…、穏やかな笑顔を向ける…

この、異空間のような屋敷の中で、どうしてこうも笑顔を讃えていられるのか? 悠夏には不思議だった…

「…匡…さん…」

吉澤の名前を知ることが出来て…、悠夏は何か…、特別なものを得たような感覚に陥った…



今日の悠夏の予定は…

「午前中は、椎堂家のしきたりなどを学んで頂き…、午後は、ブライダルエステとなっております」

「…そぅ…ですか。。」
《そっか…、まずは、結婚の準備が優先…よね?

ここに来てから、大学…、休んでるな…
落ち着いたら、…また、行けるよね?》


…と、甘い考えをしていたということ。