「…ん…っ。」

カーテンの隙間から、流れ込む…陽の光で、目が醒めた…

まぶしそうに、瞼を開けた悠夏…

すぐ近くで、カチャカチャ…と、物音がし…両目を見開いた…


その、視界に…吉澤が、ティーカップに紅茶を注いでいたのが見えたのだった

「吉澤さんっ!」

はね起きた悠夏…

その悠夏から、即座に視線を逸らした吉澤…

その反応に、自分がいまどのような状況に置かれているのか…やっと、気がついた…

「…っきゃ…!」

「おはようございます。悠夏さま」

慌てて、シーツの中に身を隠した悠夏…

「朝食の準備をしておきますので、お支度が済んだら…ダイニングに…」

「…は、はい。あの…紘一さんは?」

「紘一さまは、北海道に出張で、今朝1番の飛行機で向かわれています」

その言葉に、昨日…吉澤から聞いていた紘一のスケジュールを思い出した…

「……っ」
《仕事に行く旦那さまの見送りも出来ないなんて…
奥さんとしては、失格!…よね?》

…と、悠夏は肩を落とした…


それよりも…

「……っ」
《吉澤さん、気がついた…よね?

紘一さんと、そういうコトをしたって。。
夫婦になるのだから…当然のことだけど…

私たちは、普通に愛し合って…結婚する…夫婦とは違ってる…

まだ…好きなのか? 愛情が持てるのか?…どうかも分からない。。

それでも、たった1つ…分かることがあるとすれば…

昨日、優しく接してくれていた…ということは、事実…


信じていこう…少しは…っ》