悠夏の、その言葉を聞き…
翔吾は、その相手の長所を並べ立てた…

「椎堂グループの次期後継者だ。きっと、幸せにしてくれる」

と。

その相手の名前や年齢などを告げた…


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父の書斎を出たあと、自分の寝室へ向かう途中、自室の隣の部屋に立ち寄った…

そっと、ドアを開けると…

その部屋のベットの上には、同じ顔立ちの少女が2人、スヤスヤと寝息を立てて眠っていた…

「結愛(ゆあ)、結萌(ゆめ)…、お姉ちゃん、お嫁に行くことになったゎ…」

そう、呟きながら…そっと、2人の髪を撫でる…


呟いた途端…、胸のあたりがズキっとした…

「…椎堂 紘一(こういち)さんか…、どんな人だろ?」
《本当に、好きな人との結婚であったのなら、どんなに嬉しいことか…

相手に望まれている…と、お父さまは言ったが、
会ったこともない相手との結婚が、本当に幸せをもたらすものなのか…?


結婚は、好きな人としたかったな…》

と、次から次へと…不安な材料が押し寄せてくる…

不安で、胸が押しつぶされそうだった…


それでも…、家族や父の会社の社員たちの幸せを望む…のであれば…と、気持ちを切り替えた。


父が勧める結婚相手は、いくつかの会社を持ち、系列グループ会社もあると言う…

「どんな人だろうね?」
《いい人だったらいい…けど…》


と、2人の髪を撫でながら…呟いた。


不安な気持ちでいるより…、少しでも前向きになれる要素を探そう…と、思い直すことにした。


「きっと、いい人よ…」

そぅ、自分にも言い聞かせるように呟いた。