扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜

「…?」



(なんだろう、何かしら視線を感じるような)



水鉄砲を眺めていると、背後から妙な視線を感じた。



「あ、暁さん」



「なんか妙な視線感じない?」



「はい…」



暁さんも同じように感じていたようだ。



「どうする、なんか嫌な予感がするんだけど」



「ですよねー」



それは、私も思ってる。



振り向くのがものすごく恐怖だ。



でも、振り向かないと進まない気がする。



(よし!)



心の中で意を決意して振り向こうとしたその時。



「ぎえーー」



「えっ!」



いきなり背後からけたたましい鳴き声が聞こえてきて、思わず後ろを振り向いた。



「えーっ!?なっなっ」



後ろを振り向くと通り過ぎて行ったギョロ目のした丸っこい謎の生き物が襲ってきた。



しかもさっき程見た時にはなかったはずの口を大きく開けて、その口の中の歯が全部牙になっていて、風貌も歪さから恐怖心を煽るような風貌に変わっていた。



「いやー来ないで!?」



飛びついて襲いかかってくる謎の生き物に、思わず手に持っていた水鉄砲のトリガーに指を掛けて強く押した。



「えっ」



「はっ」



暁さんの呆気に取られた声に思わず目をつぶってしまっていた目をゆっくりと開ける。



「あれ?」



目を開けると先程襲いかかって来ていたのか生き物が消えていて、地面がなんとなく水が掛かった色になっているように見えた。



「……えっえっ…あの、暁さん何が」



状況が分からず少し戸惑いを持ちながら暁さんに聞くと。



「消えたの」



「消えた?」



「そう。水鉄砲で撃ったでしょ?」



「うん、思わず」



「水鉄砲から水が出てモロ直撃して、そのまま消えたんだよ」



「えー。でも、本当に水なの?」



「どうだろうな」



確かになんとなく重みがあるとは思ってたけど。