扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜

「水鉄砲って何に必要になるんだよ」



「水遊びでもするのかな?」



「いや、ないだろ」



「ですよねー」



ここに来て水遊びという発想はないか。



じゃあ、何があるのだろう。



さっきの大岩が転がってくるシーンを考えて、水遊びはありえないか。



じゃあ一体何があるんだろう。




それから、しばらく歩いた所で遠くから何かがトコトコと歩いてきた。



「なんだろう、あれ。なんかかわいい」



遠方からだからよくは見えていないけど、小さい感じがして可愛く見えた。



「かわいい…いや、遠くからはそう見えるけど。
なんか嫌な予感するよ」



暁さん疑いぽくそう言うと、何やら妙な声が聞こえてきた。




「ぎょえぎょえぎょえー」



「何…変な声は」



「あれからじゃね」



「!?」



遠方から向かってくる小さいものがいつの間にか近くまでやってきていて、それはかわいいものとはかけ離れていた。



むしろー。



「きもぉ」



暁さんの一言目がはっきりとした暴言だった。



「……えっと」



確かにビジュアルは丸っこくて小さいくてかわいい見た目だけど、手足が棒でギョロ目とした大きな目が2つあって、それがなんとも歪だった。



「顔と体が一体してるの?」



「じゃね?」



それにずっと奇妙な鳴き声を出してる。



「なんだろうね、これ」



「さあ」



「ほっといて大丈夫だから行こう」



「うん」



謎の生物は私達を通りすぎて行った。



特に何かがある訳もなく。



「……にしても何に使うんだろうね、これ」



「さあな」



水鉄砲を見ながら不思議そうに頭を傾げた。