扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜

転がってくる大岩に逃げるかのように走るが、さすがにこのままでは追いつかれて引かれてしまう。



それはもう目に見えていた。



一方通行で逃げれそうな所がない。



というか前にしか進めなくて、曲がろうとすると見えない壁みたいなのがあって曲がれない。



それにどんどんスピードが上がっている気がした。



「あ、暁さん…ど、どうしようー」



走りながら暁さんに声を掛ける。



正直、このままだとどっちみち足が限界になる。



というか私はそもそも走るのがそんなに得意じゃない。



「これはさすがにまずいよな」



「えっえっ」



「ねえ、そのおもちゃ貸して」



「えっうん」



そう言われて暁さんが私に渡していたおもちゃの武器を渡す。



「何するの?」



言われたままに渡したけど、何をするのかは理解できてない。



「武器になるかと思って」



「えっ」



そう言って、暁さんは走っていた足を止め大岩の方へと体を向けた。



「暁さん」



と、ひと振りを大岩に向けておもちゃの武器を振った。



「えっ!?」



どういう事か、大岩が見事に当たったのかパカと2つに割れたのだった。



「………割れちゃった。
ていうか、振ったら風のカッターみたいなのでたよ?」



見ていた私も驚愕で唖然となった。



2人して唖然となりしばらく固まっていたのだった。




「まじで武器になったよ」



そういえば、手紙には武器になると書いてあったような。



「まあ、いいや。とりあえず一難は去ったし進むか。この状況だとまだ何かありそうだけど…。
しかし、本当にこれ恋愛エピソードなのか」



(それ、私も思ってた…)



ラブパラメータが出てきてないって事は今のは上がってないのか。



あれはなんていうか、別の意味で心拍数が上がった気もするけど。