「そういやさ」


「はい?」


「別に敬語じゃなくてもいいよ?」


「えっ」


「あと、先輩とか付けなくていいから」


「ああ…」


そういえば、愛羅ちゃんにもそんな事を言われたっけ。


「そっかあ、分かった。えっと、じゃあなんて呼んだら」


「なんでもいいよ。雷斗でも。そうだな、俺 基本的に苗字に呼ばれる事が多いんだよ」


「そうなんだ、確かにかっこいいよね。暁って!」


「そう?」


「うん、じゃあ暁さんで」


「うーん、まあいいか。じゃあ、よろしく望杏」


「うん♪」


と、ちょっとだけ手短な挨拶を済ませたその時、どこからとおかしくてトンチンカンな音が流れてきた。


「ん? なになに? 」


「音? 何かの合図?」


「いや、基本的にこういうのはないはず」


するとハートの付いたメーターみたいなものが目の前に現れて、よく見ると下の方から少しだけピンク色がついていた。


「なにこれ?」


そしてまた何かが落ちてきた。


「?」


おもちゃみたいな変な物が、よく分からず色々振っていると、指がどこかに当たり突然モニターみたいなものが空中に浮いてきた。


《はーい、こんにちは》


モニターが浮かんできたと思いきや、モニターからリィアちゃんみたいなデフォルメのような見た目の子が現れた。


(くま…かわいい)


リィアちゃんとはまた違ったかわいさがある。


《私はこの恋愛エピソードで管理人兼案内役を担っています》


「案内役?」


リィアちゃんみたいな役割だろうか。


「物語に毎回こういう子がいるの?」


「いやあ、いないと思うけど」


《あ、いないですよ。特定エピソードだけ存在する者と思っていただいたらいいですよ》


「あーそうなんだ」


「あいつ何も説明しなかったんだけど」


《それでは説明しますね。まずあなた方の目の前に現れたのがラブメーターというものです》


「ラブメーター?」


なんだろう、なんとも言いようがないそのネーミングセンスの名前は。


「だせー」


「!」


心の中で微かに思っていた事を、暁さんはものすごく些細な声でぼやいていた。


《ダサいと思いました?》


「!?」


心に思った事が見透かされていた。


「えっえっ」


「まあ、だろうな」


「!」


「だせー」と言っていた暁さんもなぜか頷いていた。