扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜

結局、蒼兎くんは不機嫌なまま帰っていった。



(私、何かしたのかな?)



翌日、私は少しだけ早めに起きた。



「いるかな?」



どうして時々不機嫌になるのか理由が知りたくて、会いに行こうと思った。



今日もあそこにいるといいんだけど。



「もう、行くの?」



「うん、行ってきます」



「行ってらっしゃい」



朝食を素早く食べ終え、お母さんに挨拶してお弁当と水筒を持ってそそくさと家を出たのだった。



学校に着いて教室に向かわず中庭の端の方にあるベンチへと向かった。



「あ」



やっぱりいた。



「……」



私は足音を立てずそっと蒼兎くんに近付いた。



「あ、おはよう」



「!」



また気付かれてしまった。



なんでいつもバレるのだろう。



足音 出さないで近付いたのに。



ただ蒼兎くんが耳が良いだけなのかも。



「おはよう、いつも早いね」



「うん、早めに準備したいから」



「そうなんだ、特進って授業始まり早かったりするの?」



「うーん、一緒だけど。ギリギリが嫌だから早めに来てるだけ。毎日小テストとかあるし」



「そっかあ」



「座ったら?」



「あ、うん」



蒼兎くんに促されて隣に腰をかけた。



「ねえ、耳って良いほう?」



「えっ何?」



「いつもそっと近付いてもすぐ気付かれるからなんでかなって思って」



「ああ…それは多分、感覚だよ」



「感覚?」



謎な事を言われてキョトンと首を傾げた。



「えっと、つまりアリス属性だけが持つ特殊な物って言えば分かるかな?」



「特殊な物?つまり気配をすぐに察知できてしまうって事?」



「そう。そういう事」



だから、すぐに気付かれていたんだ。



耳が良いとかじゃなくて、感覚という察知能力だったんだ。



そういえば、アリス属性を持っている人は感覚で分かるとか言っていた気がする。



そういう類いのものなのだろう。



「そうなんだ、それすごいね」



「うーん、でも属性持ってる人間しか分かんないから。他の人とか察知できないから」



「そっかあ、特別なんだね」



「そうなんだよ」



「………」



蒼兎くんのその頷きには特別な思いがこもってる感じがした。



(?)



だとしたら私も属性があるから感覚を察知できるはずだと思うけど。



「私…何も感じない」



「アリスちゃんはまだ仮だから」



「ああ、なるほど」



「ちゃんとアリスになれたら感覚察知できるよ」



「そっかあ」



それは少し楽しみな予感だ。