扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜

「ごめんね、私…」



謝ろうとする私に蒼兎くんはふいに「……手出してくれる?」と言われて、とりあえず素直に手を出した。



「!」



と、蒼兎くんは差し出した手を両手でぎゅっと握ってきた。



「えっあっあの!」



「知ってる?人の手ってね優しいんだよ?」



「………」



「大丈夫だから、君は。きっと大丈夫だから。分かるよ、その気持ち。怖いよね、自分が1番怖いもんね」



「蒼兎くん…」



なんでそんな事を言ってくれるのだろう?




「あー2人してどこに行ってたの?」



中庭に戻ると音仲くんが駆け寄ってきた。



「ちょっとね」



「えーずるい」



(何が?)



「いいだろう」



(だから何が?)



「………」



もしかしたら、蒼兎くんも何か抱えているものがあるのだろうか。



「アリスちゃん」



「あっ」



「あーん」



「……」



ただ、蒼兎くんの行動はちょっとばかし疑問点が多すぎて、なんでやたらと距離感が近かったり触れたがろうとするんだろう。



それがちょっとわからないけど。



「ん?どうしたの?」



「いや、えっと」



「あーん」



これは、口開けないとダメなんだろうか。



すごく待ってるし。



(う、うーん)



「おいしい?」



「うん」



音仲くんにもさっきされたけど、あれはどっちかというと突っ込まれた感じだったし。



結局、開けてしまった。



まあ、嫌な気はしなかったけど、でも蒼兎くんってなんか見た目と反して性格が真逆な人だ。



「望杏ー」



「白沙芽先輩」



しばらくして、白沙芽先輩が声を掛けてきた。



「あは、愛羅でいいよー」



「えっでも」



「ここでは、そういうの気にしないから」



「う、うん。じゃあ、愛羅ちゃん?」



「うん!」



「うわー愛羅をちゃん呼びする奴が現れるとは、すげーわ」



阿賀波先輩が相変わらず茶化す言い方をしてきた。



「へ、変だったの?」



「ううん、大丈夫。こいつが変なの」



「でも、確かにちょっと違和感だよね」



「ある意味な」



続いて音仲くんも蒼兎くんも愛羅ちゃん呼びに何か言ってきていた。



「それどういう意味よ。まったくこいつらときたら」



茶化す言い方ってこれもいつもの事なんだろう。