「はい、望杏」


「ありがとう」


白沙芽先輩は私にケーキを渡してくれた。


「かわいい…」


そのケーキはカラフルでアリスの模様の入ったすごくおしゃれなケーキだった。


「おいしい」


ケーキの中身もカラフルでベリーやパッションフルーツなどのフルーツがふんだんに入っていた。


「でしょうーリィアがね、材料とか用意してくれたのよ? 作ったのは違うけど」


「そうなの?」


「うん。作ったのは、瑠架だけどね」


「蒼兎くんが?」


「そう。あいつ料理もできちゃうのよ。見た目だけでも完璧なのに、手先も器用なのよねー」


「………」


じゃあ、他のお菓子も蒼兎くんの手作りなのだろうか。


「全部、蒼兎くんが?」


「ううん。ケーキとマカロンとカップケーキだけかな。あとのはリィアが用意してくれたの。で、あたしたちが設置とかを準備したのよ」


「そうなんだ」


「飾り付けとか超良くない?」


「うん、かわいい」


「よかったあ」


「何、自分がいかにも全部したみたいな言い方してさ〜」


と、阿賀波先輩が間に割って入ってきては、白沙芽先輩を茶化す。


「何よーちょっとやったじゃない?」


「はあ、ちょっとね〜?」


「何よ?」


「べっつにー?」


「………」


ここの人達ってみんなこんな感じで妙な言い合いを繰り広げるのが好きなのだろうか。


「望杏ちゃん、あーん」


「えっ…!?」


2人を余所に音仲くんも入ってきて、口の中に何かを放り込んできた。


「ちょっ渢和」


(あ、マカロンだ)


「おいしい」


「あ、そう? それは良かった」


蒼兎くんは何気に嬉しそうになった。


「あ、カップケーキも食べる? あとね、俺が作ったんじゃないけどプリンもあるよ」


蒼兎くんは嬉しくなったのか色々お菓子を勧めてくる。


「………」


なんだろう、この感じは……。


少し違和感を感じる。