「望杏〜」


放課後、浬樹ちゃんと碧沙ちゃんがニコニコした表情で私の席に近寄ってきた。


「うん? 何?」


「あのね、今日ね部活休みなの」


「あ、そうなんだ。2人は同じ部活なんだもんね」


「でね、今からカフェ行こうと思って」


「最近できたカフェでね、すごくかわいいお店なの」


「へー行きたい」


と、思ったがすぐに蒼兎くんの事を思い出す。


「えっとごめん、今日 用事あって」


「そうなの?」


「う、うん」


「じゃあ、しょうがないか」


「また今度にしようね」


「うん」


そんなやり取りをしていると、ふいに廊下から何やら騒がしい声が聞こえてきた。


「何?」


「さあ?」


「!」


もしかしたらというか、絶対に蒼兎くんだ。


迎えに来るって言ってたから。


(来なくていいって言ったのに、絶対目立つじゃん)

目立つの嫌だからって言ったのに、わざとやってるのだろうか。


荷物を持って浬樹ちゃん達と教室から廊下へと出た。


「えっあれって!」


廊下に出て見に入った人物に蒼沙ちゃんは驚くように目を丸くしていた。


「あ、いた♪」


「……!」


(えっちょっと、本当に来るの? 嘘でしょ)


私を見つけると嬉しそうな表情で、私に近寄ってきた。


「やっほ、アリスちゃん」


嬉しそうな顔ををする蒼兎くんに対して、私は顔を引きつらせてヒクヒクさせていた。


「迎えに来たよ」


「………」


その時私はどういう顔をしたか言うまでもないが、絶望に伏せていたかもしれない。