「望杏、気付いていないならそのままでいいわ。というか、気付かない方がいいのかな。その方が都合がいいしね」


「えっ」


「星都のこと好きにならない方がいいと思うの。自覚がないなら気付かない前にその気持ちを失くした方がいいわ。じゃないとあいつに傷付けられるよ?」


「えっ? えっ…どういう」


戸惑いと困惑が収まらない私に蒼兎くんは私に近寄り頭に手を置く。


「!あ、蒼兎くん?」


「そういう事だからね」


「そういう事?」


「君はあいつの良い所しか知らないし見てないから、けど俺達はあいつの本性を知ってるから言ってるんだよ。別に俺らはいじわるやからかって言ってるんじゃないんだよ。変に情を持ってほしくないだけで、気付いてないなら気付かないままでいてほしんだ。今はまだ言ってる事わからないならそれでいいから、ねっ?」


「……」


(本性って……)


蒼兎くん達は本当の星都先生を知っていて、だからこそ私に忠告してくれているんだ。


でも私は、この時なんとなく違和感しかなかったのかもしれない。


だってあの星都先生が優しくて人気のある先生なのに、蒼兎くん達からは好かれていないのが不思議で仕方なかった。



優しくて良い人なのになぜ?


「ごめんね、困らせること言って」


そう言って、蒼兎くんはまた頭に手を置き優しく撫でてた。