〈♪〜♬〜♪〜♬〉


「!」


ふとコミカル調だけどどこかふんわりとした音楽が聴こえてきた。


「あ、そろそろ戻らないと」


「えっとこれは合図なの?」


音楽に反応した蒼兎くんに尋ねると、ねずみちゃんが教えてくれた。


「そうです。ここには時間制限がありまして。というのもここの時間と向こうの時間というのがかなり違っていて、おそらく出た頃には終了時間になっていると思うんです。でもここではあまり時間は経ってないんです。物語に入ると一応、物語の一段落が終わるまで時間はほとんど経ちませんが。なんせ物語が無限にありますから」


「そう…なんだ」


(終了時間って)


戻ったら下校時間になっているという事なのかな。


「さてと、そろそろ行こうか」


「そうだね〜」


「えっ」


「案内します」


そのままねずみちゃんに玄関まで案内してもらい、洋館を出る際にねずみちゃんにあるものをお土産としてもらった。


「これは?」


「ラビリスの紅茶です。よかったらどうぞ」


「いいの?」


「はい♪」


「ありがとう」


それから、最初に目覚めた庭園へとやってきた。


「あの、どうやって戻るの?」


「うん? ああ、ベットに座って時間になったら戻るよ」


「へっ?」


ベットって⋯このやたらとでかいキャンディーのクッションの事だよね。


「おいでおいで」


「えへ♪」


「いや、お前じゃねえんだけど」


蒼兎くんはおそらく私を隣に座ってという合図だったのだろうけど、先に音仲くんが蒼兎くんの隣に座った。


「えー?」


「ほら、おいで」


「う、うん」


左隣が空いているから別によかったのだろう。


そのまま蒼兎くんの隣に腰を掛けた。


「いや、お前近えよ」


「えー瑠架くんつれなーい」


「……」


(仲良しだなー)


そんな事を思ってぼーっとしていたら、急に目の前が白くなった。