「アリス…になってる」


(かわいい…)


あまりにもかわいい服装にくるくると回って見る。


(ってそうじゃなくて!)


しかも、髪色も変わっているし。


(薄めのピンクとオレンジが混ざった色…)


それだけじゃなくて、緩めの癖毛だったのにウェーブになっていて、セミロングだったのにくびれまであるロングになってる。


身長や体のパーツは全く変わってないけど。


「どういう事?」


「これがこの世界のスタイルだよ」


ニコニコと音仲くんは笑っている。


音仲くんからすればこれが普通なのだろう。


よく見ると、音仲くんの髪型は特に変わっていないけど、色は変わっている。


(薄いパープル色…)


「あ、よかった。起きたんだね」


「!」


すると、またしも声を掛けられて反応する。


振り向くと蒼兎くんの姿が現れたが、蒼兎くんだけどマッドハッターの格好をしていた。


髪も少し長くなっているのか後ろで結んでいて、髪色も黄色系のミルクティー色になっている。


(やっぱりかっこよくて綺麗だな)


って見惚れてる場合じゃなくて…。


この状況はいったいどういう事か問い詰めたくて、睨んだんだけど。


「………」


「もしかして、初めてだった?」


「へ?」


「あ~ごめんね」


「!?」


状況に困惑していたせいかキスされた事など気にも止めてなかった。


そういえばなぜかされたんだった。


確かにそれも問い詰める要因があるかもしれない。


「うーん、でも。変な男より俺の方がよかったくない?」


「え…」


(どういう自信…それは)


蒼兎くんって見た目と違ってチャラい人なのかな。


「アリスちゃん」


「!?」


蒼兎くんんが後ろから近付いて耳元でささやく。


「かわいいね、アリスちゃん」


「っっ」


突然耳元で言うものだから、びっくりしてしまった。


(なんで!?)