「………」


なんだろう…不思議な匂いがする。


でも、すごく落ち着く。


「んー」


いつの間にか眠っていたのか目を開けると、ベットみたいなふかふかした場所で寝ていた。


「? ベットじゃない」


ベットというよりは、大きなキャンディーの形のしたクッションだ。


「ここは…どこだろう?」


辺りを見渡すと、見渡す限りカラフルな色のした草花とスイーツの形のした大きなクッションがたくさん置いてある。


「メルヘン…だね…かわいいけど」


ていうかさっきまで確かアリス模様のような部屋にいたはずで、あのマーブルの扉の中にこんな部屋がまだあったって事?


にしては部屋の中ぽくないし、むしろ外ぽいんだけど。


それにしてはあまりにも非現実的すぎるんだけど。



「あー起きたんだ。よかった!」


「!」


音仲くんの声に反応して声の方へと顔を向けると、私は思わず驚愕な目を向けた。


「ええ…」


音仲くんはチャシャ猫のようなスタイルの服装でスキップしながら笑顔で駆け寄ってきた。


「チャシャ猫?」


チャシャ猫の猫耳に尻尾も付いているけど、あれは本物だろうか。


「ん? どうしたの?」


「いや、なぜそんな格好を?」


(コスプレ…という訳ではないよね)


「何って、アリスの世界だから当たり前だよ」


「えっ」


(アリス世界…?)


って何?


「まあ、そうだよねー」


「?」


さらに何が何だか分からない状況になる。


「おいで」


音仲くんに連れられてあのドアぐらいの大きさのある大きなキノコの前に立たされた。


「音仲くん、これは…何?」


食べ物ではなくオブジェみたいな物だけど。


「うん? 鏡だよ」


「鏡?」


見渡す限りキノコの形で、どこをどう見て鏡なのだろうか?


「えーと…うーん…これかな? あ、これだ」


「?」


音仲くんは何かキノコのオブジェのような物から何かを探している。


「望杏ちゃん、はい」


「えっ」


音仲くんはオブジェのボタンらしきものを押すと、突然くるっと中から回転するかのようにでてきた。


オブジェだったのが姿鏡へと変形したのだった。


「…えっ!?」


鏡よりも驚いたのが、鏡に映り出た私のファッションだった。


制服だったのに私までもが衣装チェンジしていた。


「アリス」


その格好は誰がどう見てもアリスの格好だった。